「総合的な学習の時間」への働きかけ
自然体験活動が子どもの成長に役立つことを、多くのデータが示しているのは知っていました。そして自分たちのプログラムにも自信はありました。それでも足が重くなるのです。どうしても一歩を踏み出す勇気がなく、いつも学校の校門の前で立ちすくんでいました。
そんなわたしの背中を押してくれたのは、CONEの仲間です。知りあいだという小学校の校長先生を紹介してくれたのです。これがきっかけで勇気をふるい、やっとの思いで扉を押しました。するとその扉は意外と軽かったのです。少しの勇気と、幅の広いネットワークが、一歩を踏み出す助けになります。学校の「総合学習」にかかわろうとする指導者は、自然体験活動のセールスマン。そう自分にいい聞かせ、勇気をもって扉を押したいものです。
こうして2003年にはじめた、1泊2日の「校庭キャンプ」も今年で4回目。「自然好き」はともかく、「キャンプ好き」は年々増えています。

運営の流れ
※BS=ボーイスカウト、青少対=青少年対策協議会
企画時から「自然を好きになる」を目的とし、遊び(自由な空間・時間・発想)のなかで、自然の不思議や社会の仕組みなどに“子ども自身が気づくこと”を活動の目標にしています。押しつけがましい指導は、キャンプ嫌いを生み、それは自然嫌いにつながります。教えるのではなく、気づきに結びつく刺激を与えること。それが総合学習にかかわる指導者の役目です。
そして活動の実施にあたって一番気を配ったことは、やはり安全の確保でした。校庭キャンプではフィールドに大きな危険はありません。学校や保護者の関心は犯罪的要因、すなわち「不審者の侵入」にありました。子どもが被害者となる犯罪が多発する近年の状況を考えると、これは当然のことです。そのために校庭キャンプをとりやめた小学校もあります。
そこで関係者と相談の結果、防犯協会、保護者が中心となり、不寝番を置くことになりました。するとこれが、思わぬコミュニティ再生の芽を生みました。お父さん、先生、行政の人の、焚き火を囲んだ夜を徹した語らいからコミュニティ再生の芽が少しずつ育っています。安全は安心を生み、安心は共感(コミュニティ)を育てるのです。
こうしてようやく定着した「校庭キャンプ」は、ふり返ると、多くの人の協力によって実現したといえます。成功に導くことができた要因を以下に整理してみました。
- 学校の理解:校長、教頭の自然体験活動への理解が大きな推進力になりました。
- 父母の理解:学校との協働、「不寝番を置く」などの安全への姿勢が理解をえるきめ手に。
- 地域の協力:商店街、防犯協会、町会の協力が、活動継続の大きな要素となっています。
- 行政の協力:公報誌での告知のほか、新聞社への取材誘致、協力先の紹介など、市役所の働きかけで、保護者や地域の協力がえやすくなりました。
多方面での協力者の開拓も総合学習にかかわる指導者の大切な仕事です。またネットワークは、一度つくったからといって安定した協力がえられるとは限りません。学校、PTA、市役所などの担当者の交代はつねのこと。人がかわることは、協力体勢がかわることです。協働の枠組みにも影響します。協力者とはつねにコミュニケーションを図り、信頼関係を保つこと。それが人事交代のときにも、後任への引き継ぎをスムースにしてくれます。つねに協力機関の動きにアンテナを高くし、不安定要因に備えることも必要でしょう。
“協働”とはまさに補填すること。スムーズに行なうポイント3つあげてみました。
- 目的を共有する:すべての人が共通の目的を理解し、誠実に協力すること。
- 対等の関係である:上下、主従ではなく横の関係で、それぞれの理念を尊重する。
- 相互に理解しあう:互いの長所、短所、もっているもの、もっていないものを知り、率直に認め、補完しあう。
「協働の条件」は、総合学習にかかわる指導者の「おもいやり」のなかにあります。

プログラム
もりよし しょうじ:ボーイスカウト日本連盟(CONEトレーナー2種)
